さて、高校二年生の僕の昔話を始めようか。
約9年前の秋の中旬くらいまで僕たち家族は普通に暮らしていた。周りの家とは少し違う二世帯住宅という二階に僕たちは住んでいた。一階は祖父母が住んでいた。当時の僕はまだ小学一年生で兄と弟がおり、兄とは5歳、弟とは一歳離れていた。
また僕の家は父も母も働いていた。いわゆる共働きというやつだ。
父は温厚で優しい性格で母はなにかと真面目な性格であった。
母親と父親は9歳差という年の差夫婦であり、ある出来事が起こるまでは仲が良くみんなが思い描いているような普通の家庭だった。
そのある出来事というのは、仕事ばっかの父親が子供の面倒、家事を全くしなかったということ。父は仕事ばっかのくせに給料があまりよくない。よく母親がそんなふうなことをよく言っていた。当時の僕はなんのことかよくわからなかった。それもそうだ。
小学一年生の少年が家族の金銭事情なんて分かるわけないからだ。
また、当時は両親が喧嘩をする頻度がいつもより少し多かったんだ。
この時からだったのだろうか、僕たち家族が壊れ始めたのは、、
四季が秋から冬に変わりある日の夜10時。
僕たち兄弟が子供部屋でゆっくりと眠りにつこうとした瞬間、
リビングから怒鳴り声がした。
母親の声だった。
そのあと父親の声が聞こえてきた。
内容まではよく聞こえなかったが、
今までに一度もなかったほど大喧嘩を両親はしていた。
何かをたたく音、コップを割る音などの色々な雑音が鳴り響く中、
僕たちは怖くて泣きながら子供部屋にうずくまっていた。
翌日の朝。多分8時頃だったと思う。
母親からこう言われたことを今でも鮮明に覚えている。
「この家から出ていくから出ていける準備して」と。
僕たちは「え?お父さんは?なんで、なんで」と泣きながら言ったと思う。
すると母はゆっくりと「お母さんとお父さん別々で暮らすことになったんだよ、お母さんと一緒に来てくれるよね?」と言われた。
僕はこの時、小学一年生ながらも動揺していた。
また、しばらくすると父がこう言った。
「子供は私が引き取るから、一人で出ていって」と。
父がその言葉を言った瞬間、また喧嘩になった。
母が「あんたなんて子供達に何もしてあげられないでしょ」といった時、
父は黙っていた。
図星だったんだろうなと思った。
母と家を出て行く前、僕たちは父に「ばいばい」すら言わず黙ってその家をあとにした。
出ていく際に僕たちはもう一度いうべきことがあったんだ。
そう、「離婚なんてしてほしくないって、、」。
最後まで見てくださりありがとうございます。次回もお楽しみに。
次話(ep2)
母とのアパート暮らしの日々